DJ SOULJAH

Q. まずは自己紹介をお願いします。

A. DJ Soujahです。NYを拠点に活動しています。

Q. 音楽を聴き始めたきっかけは?また、初めて聴いた/買ったHip-Hopの曲は?

A. Hip-Hopやアシッドジャズに限って言うと、13歳頃から洋服が好きで、よく行っていた洋服屋で出会ったのが最初ですね。あとは、兄の影響もあります。初めてHip-Hopのアルバムを買ったのは94年頃なんで、Nas、The Notorious B.I.G.やWu-Tang-Clanあたりだと思います。

Q. では、DJを始めたきっかけは?

A. 中学の頃、近所に住んでいた友達が流行り物好きなヤツで、当時からターンテーブルを持ってて。たまたま遊びに行ったらそいつがスクラッチをやってるのを見て、それから興味を持ちました。

Q. そのお友達って今もDJなんですかね?

A. こないだ久しぶりに会いましたけど、会社員になってましたよ(笑)

Q. ではNYに渡った理由とその経緯は?

A. NYに住み始めてから10年経つんですが、もともと10代の間に海外留学をしてみたいと思っていて、オーストラリアへワーホリに行く途中に寄ったのがNYだったんです。

Q. 結局オーストラリアには行かなかったんですか?

A. そうなんですよ(笑)地元でもレコード屋で働いていたんでNYには行ってみたかったんですけど、やっぱりヤラれちゃって。結局オーストラリアには行きませんでしたね。

Q. NYに行って、すぐにDJとして活動を始めたんですか?

A. いえいえ、最初の1、2年は生活に慣れることで精一杯でしたね。

Q. では、NYでDJを始めた経緯は?

A. もともと地元のレコード屋で働いていた経緯もあって、少しずつNYで買い付けのような仕事を始めるようになったんですよ。地元では人前でプレイすることはあったんですけど、NYのクラブミュージック文化に触れた事で、今度はNYでもやってみようかな、と。

「NYでDJをやってみたい気持ちはあったけど、当時は100人中100人が“日本人がNYでDJをやるのは難しい”って言ってましたからね」

Q. ということは、DJをやるためにNYに行ったというわけではないんですね?

A. DJをやりたいと言う気持ちもあったけど、当時は100人中100人が「日本人がNYでDJをやるのは難しい」って言ってましたからね(笑)

Q. ということは、すぐにDJとして軌道に乗ったわけではないのですね?The Sourceアメリカ版ではDJとして取り上げられてましたよね?

A. 軌道に乗ったと言えるのは、本当ここ数年ですよ。The Sourceで取り上げられたのも、名刺代わりに作ったMix CDがたまたま編集部に行き着いてって経緯みたいです。バーでのDJから始まって、本当に少しずつ進んでいった感じです。渡米当時は日本食屋で働いて、その後バイヤーの仕事を5年くらいやって、ようやく今に至るって感じですね。

Q. 今回の『Manhattan Records The Exclusives Hip-Hop Hits Vol.2』は、まさにHip-Hop好きのアラサー世代が、せっせとアナログを買っていた時代にヒットしたクラッシックスばかりですが、 DJ Souljahにとっても今回の選曲は思い入れが深いのでは?

A. 当時アナログを買っていた人は、ほとんど聴いた事のある曲なんじゃないですかね。オレにとっても思い入れが多い曲ばかりですね。

「NYの場合は、必ず90sの時間帯があります。むしろその時間帯がないと成立しないんですよ。」

Q. DJをされるクラブで90sをプレイすることはありますか?

A. NYの場合は必ず90sがかかる時間帯があって、そこで定番曲と新しい曲をどうMixするかっていう点が重要になってくるんですよ。日本だと最近はあまり90sがかからないって聞きますけど、NYは逆にその時間帯がないと成立しない雰囲気ですね。

Q. そういう場合、若いHip-Hopファンの反応は?

A. 盛り上がりますよ!僕らくらいの年代の人はもちろんですし、最近だと90sのクラッシックスを親世代が聴いていたような若い子もいますしね。Hip-Hopの根が深いぶん、ファンの年齢層も広いんじゃないですかね。

Q. ある意味、00s以降のHip-Hopしか知らない世代には新しい音なんでしょうか?

A.新譜を聴くような感覚で90sを聴いてる人も多いと思いますよ。でも、Golden Eraって呼ばれるくらいだから、世代を問わず耳に引っかかる“何か”があるんじゃないでしょうか。

Q. この作品が若い世代にとって、Golden Eraの良さを認識するための入り口になる可能性は?

A. 絶対になると思いますよ。逆にこれくらいの時代の作品から聴き始めて興味を持ってもらえると、さかのぼってネタを探したり、新譜でサンプリングされている曲を新鮮な気持ちで聴いてもらえたりすると思いますよ。

Q. 今回はどのように選曲したんですか?

A. 普段Mixテープを作るとき同様、最初にテーマと起承転結を考えるんですよ。先にしっかりとしたテーマを持ってないと良いものは出来ないと思うんですよね。

Q. 今回は、アナログにしか収録されていないRemixなども多く収録されていますが、どのような点にこだわりましたか?

A. やっぱりこのへんの作品を買っていた人たちにとっては、アナログにしか収録されていない曲を収録することで喜んでもらえると思ったし、それに当時探していたRemixをCDで聴けるって、この作品以外にあまり存在しないと思いますね。最近の作品って、そういうちょっとしたコダワリが少なくなっているような気がするし。オレなりのアートを表現できればなっていう思惑もあります。

Q. 私自身、この時代のHip-Hopを買っていたアラサー世代なんですが、やっぱり当時買えなかったような曲が今になって、それもCDで聴けるっていうのは嬉しいですよね。

A. そうですね。最近は、あまりそういうコダワリを持って作品を作る雰囲気が無いですからね。ある意味今回のCDは貴重な存在だと思いますよ。

Q. 今回のCDが新たなムーヴメントの火付け役になるかもしれませんね。

A. そうですね。本当に良いものを再認識して、コダワリを持って音楽を聴いてもらえるようになるといいなと思ってます。

Q. なんと言っても今回、Hip-Hop界の重鎮KRS-ONEに楽曲を提供していますが、どのような経 緯でコラボが実現したんですか?

A. もともとこのCDで何か1曲制作したいと思ってたんですけど、90sのHip-Hopを代表するアー ティストで、なおかつ今も現役で活躍しているアーティストって考えたときに、やっぱりKRS以外はいないかな、と。以前からKRSとはNYで交流があったし、とにかくKRSはライブが最高なんですよ!オレが知ってるアーティストの中では、ダントツで1位ですね!彼こそ本物のエンターテイナーだと思うんで、今回一緒にできて本当に光栄です。

Q. DJ SoujahにとってKRS-ONEの魅力とは?

A. KRSほど昔から芯のぶれないアーティストはいないと思いますね。表現者としても人間としても、 意味のあることをビートに乗せて表現することができる数少ないMCの1人だと思います。

Q. まさにアラサー世代には嬉しい選曲、そしてジャケットもHip-Hopの殿堂Manhattan Records のレコード袋がモチーフになっていますが、個人的にManhattan Recordsや、そのロゴに思いいれ はありますか?

A. 昔から「あのロゴの付いた袋にはスゴいレコードが入っている」っていうイメージがありますね。 90sから今に至るまで、日本のHip-Hopを象徴するロゴだと思うし、オレも東京に出てきた頃は、あのロゴを見て高揚しましたよ(笑)。

Q. まさに、日本におけるHip-Hopの古きよき時代を象徴するロゴだと思いますが、NYにもManhattan Recordsのようなレコード店やレーベルはありますか?

A. 古くからあるレコード屋という意味では、Fat Beatsなんかがそうだと思いますけど、Manhattanのように、ロゴや存在自体でムーヴメントを起こせるほどパワーのあるレコ屋やレーベルはないような気がしますね。

Q. 今回のインタビューのサブテーマは『Hip-Hopとアラサーの新しい関係』なんですが、現在日本 でCDを積極的に購入している世代は50代~が多いといわれています。NYでも同じような状況なのでしょうか?

A. そうですね。パッケージに愛着を持つってことはつまり、アーティストに愛着を持つってことだと思うんですよ。そういう意味でも、上の世代の人たちはパッケージやライナー、クレジットも込みで、そのアーティストを追いかけるっていう感覚を持ってるんだと思います。

Q. 昔、バイト代のほとんどをレコードに費やしていたような現アラサー世代がCDやアナログを買わなくなっている現状があります。仕事に忙しかったり、結婚して家庭を持ったりすると、音楽に意識を向ける時間がなくなる、という人が多いようですが、NYでもこのような状況はあるんでしょうか?

A. オレの知る限りNYで「忙しいから音楽を聴かない」って言う人はほとんどいないと思います。や っぱり日本よりも音楽自体が文化の一部として根付いているから、仕事をしながらでも音楽は聴くし。入手の手段は変わっても、音楽は常に生活の一部ですよね。

「DJでメシが食える構図が確立されれば、音楽から遠ざかる人も減るんじゃないでしょうか。」

Q. 日本よりも、音楽自体の地位が高いということなのでしょうか?

A. そうですね。日本より、生活や人生の一部として音楽が根付いてるんだと思います。例えば日本でDJっていうと“クラブDJ”か“Mix CD DJ”という2つの選択肢しかないけど、アメリカではテレビやラジオ、アーティストのツアーDJだったり、DJという職業の幅も広いんですよ。DJとしてメシを食えるっていう実態があるから、音楽ビジネスも成長するし、DJを目指す若い世代も増えるんだと思います。結局メシを食えなきゃただの趣味にしかならないですからね。だからもし、日本でももっと「音楽でメシを食える」構図が確立されれば、音楽から遠ざかる人も自然と減るんじゃないでしょうか。

Q. ズバリ、アラサー世代がHip-Hopから離れてしまった最大の原因は何だと思いますか?

A. Hip-Hopバブルと言われた時代に、一部のファン層だけじゃなくて、全体を見てムーヴメントを起こす事ができなかったからじゃないでしょうか。でも今回日本全国でツアーをしたんですけど、すごく盛り上がってたし、若い世代だけじゃなくてオレら世代の人も沢山来てくれました。特に「音楽離れ」ってことは感じませんでしたよ。結構日本の未来は明るいんじゃないかなって思いますよ。

Q. もっと、日本のアラサー世代が音楽に近づくために私たちレーベルやアーティストができることは何だと思いますか?

A. 僕も常にPRIMECUTSのメンバーや相方のSUI( of Cut Creator$)とそれについて話しているんですが、日本も確実にダウンロード化が進んでいると思うんですよね。。
もちろんそれって、残念なことだとは思いますけど、でも今までだって「アルバム全曲楽しめるような作品ばかりだったか?」と聞かれると、そうとも言い切れないと思うんですよ。Hip-Hopバブルの頃の悪い余韻が今の若い世代に1曲買いをさせているんだと思いますね。やっぱりアーティストもレーベルも「アルバム全曲どこも聴き逃せない」と思ってもらえるような作品を作ることが大切なんだと思います。必ずしも今の風潮は買い手だけが悪いわけじゃないと思いますよ。

Q. どのクラブもかなり盛り上がったと聞きましたが、やっぱり地方によってお客さんの反応や雰囲気も違うものですか?

A. どこに行っても、みんな曲に詳しいし、本当に好きなんだなって思いましたね。もちろん場所によって曲に対する反応が違う事もありますけど、DJとしてはチャレンジ精神を掻き立てられるし、どの場所でもすごく楽しめました。

Q. 今回のツアーでは日本だけでなく台湾にも行かれたそうですが、反応は?

A. クラブというよりはディスコって雰囲気の方が強く残ってますけど、ちゃんとDJもラッパーもいて、みんな真剣に音楽をやってますよ。クラブに対して、凄く興味を持っているみたいですね。これからはもっとアジアで活動してみたいと思ったし、アジアから発信できる事も多いんじゃないかと感じましたね。

Q. NYでクラブに行ってみたいと思っている人は多いと思いますが、NY初心者でも楽しめるおススメのクラブは?クラブでのマナーなど、日本との違いはありますか?

A. NYはクラブによってドレスコードがある店も多いから、そこは事前にチェックしといた方がいいと思いますね。最近はウエストサイドの10thアヴェニューの辺りにクラブ街ができてるんですけど、そこなんかはクラブ目的の人しかいない場所だから、ある意味日本よりも安全に楽しめると思いますね。酒飲んで喧嘩してるような人もいないし(笑)。セキュリティーもしっかりしてるしね。

Q. 今回のCDを聴いてNYでDJ Souljahのイベントに行ってみたいと思った人はどこに行けばいいんでしょうか?

A. イベントのスケジュールは随時ブログに載せてるんで、そこを見てもらえば情報は全て載ってます!普段オレが出てるイベントで日本人を見かけることはほとんど ないので、是非遊びに来てほしいです!

Q. では、最後にファンの方に一言お願いします。

A.とにかくスゴイ内容になっています!どこかに必ず引き付けられるポイントがあると思うんで、是非一度聴いてみてください!単純にMix CDとしても最高の内容に仕上がっていると思います。新譜に耳が飽きてしまった人達にも是非聴いてほしいですね!

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